おとなの恋は、まわり道

Production Note

アンチリゾート・ウエディングから生まれた独創的な物語
「リゾート・ウエディングを“押し付け”に感じたことが、この映画の発想の源だった」と、脚本家兼監督のヴィクター・レヴィンは語る。ヴィクターが2015年に参加した “夏のリゾート・ウエディング”が、ありがた迷惑だったことから、本作が生まれたのだという。「空港に大急ぎで向かい、延々と続くフライトでは座りっぱなし、果てしない催し物に無理やり参加させられた。こんな式には誰も招かれたくない。やはり結婚式は地元であげてほしい」とヴィクターは笑う。
 脚本を完成させたヴィクターは、長年の友人でプロデューサーのゲイル・ライオンにコンタクトをとった。さらに、プロデューサーのエリザベス・デルにも働き掛けた。脚本を読んだライオンは、「愛や別れに苦しんできた二人の大人の男女が、自分の歩む道を見つけようとするこの物語を、ヴィクターがどう映像化するか見てみたいと思った」と映画化を決めた理由を語る。
 一方のデルは、ヴィクターが他の映画ではあまり見かけない状況を掘り下げて描いていることに心を打たれたと話す。「ナイーブな21歳の若者でもない限り、恋愛を見つけるのが難しいことくらい私たち全員が知っているわ。でも、恋愛は若くて美しい者たちだけのものではなく、人生を経験し、2度、3度と失敗してきた人たちのものでもある。そこを描いた脚本に惹かれたの。」
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ウィノナからキアヌへのオファーで二人の会話劇が実現
製作陣は、主人公の二人にふさわしい、成熟した一流の俳優を探し始めた。リンジー役をオファーされたウィノナ・ライダーは、脚本を読んですぐに「イエス」と答えるだけでなく、旧友であり、仕事仲間であるキアヌ・リーブスに自ら脚本を送った。そして、キアヌもすぐに快諾した。
 脚本開発段階から、ヴィクターは主人公二人の映画にするつもりだったが、最終的に台詞があるのも二人だけという物語になった。ヴィクターは、「結婚式は彼らの周りで進むけれど、二人はその中に入るわけではない」と説明する。「ある程度の距離を保ちながら、すべてを経験していく。映画全体がそういうふうに進む。強烈な存在感を放つウィノナとキアヌがこの題材をどう扱うのか、それが鍵だった。」
 過去に3本の映画で共演したキアヌとウィノナは、オフスクリーンでの友情が反映し、スクリーン上でも心が通い合っているように見える。「二人の友情は大きな財産だった」とヴィクターは指摘する。「化学反応を起こしてくれと頼むことはできない。それはそこにあるべきもので、監督の仕事はそれを最大限に活用することだ。」
 二人の気心の知れた友情が役作りに役立ち、時には台詞も彼らの言葉になって出ることがあったとヴィクターは振り返る。「二人とも愉快な人たちだし、私は彼らに自由に演じてほしかった。台詞にしても少し変えるなら、元の言葉に固執する気はない。時折、全く予想していなかった素晴らしい瞬間を得ることもある。ベテランの二人には、それがよくわかっていた。」
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キアヌ・リーブスが解説する“フランクの人物像”
キアヌは、フランクというキャラクターについてこう分析する。「ものすごく不安定で、人間嫌いだけど、僕は彼のウィットが好きだし、苦しみも理解できる。フランクを応援したくなるね。彼はリンジーと出会って、彼女に惹かれていく自分に気付き、自分の過去を乗り越えようとする。」
 フランクとリンジーは多くの意味で同じ考え方をする似た者同士だが、ある重要な点については正反対だと、キアヌは解説する。「二人の違いは、リンジーがまだどこか希望を持っているところ。彼女は二人の間に何かがあることを、何か賭ける価値のあるものがあることを感じ取る。フランクは、最初はそう思わない。そこが二人の関係をもっとロマンティックで面白くしている側面だ。」
 フランクは自分と同じように、人間に対して皮肉っぽい見方をするリンジーの中に、ソウルメイトを見つけたのかもしれない。だが彼にはどんな関係も長続きするとは思えないとキアヌは説明する。「愛は他の人間にはいいかもしれないが、彼には大きな不幸をもたらして終わるだけのこと。それなら、なぜ煩わされなくちゃいけない? 痛みを感じないほうがいいに決まっている。」
キアヌはウィノナと再び共演するチャンスを得られてワクワクしたと語る。「ウィノナは素晴らしい人だし、才能豊かな女優だ。僕たちはいい組み合わせだし、二人で進められるところが気に入った。僕たちだけで8分のシーンを何度も演じているような感覚だ。映画ではそういうチャンスはめったにないからね。」
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ウィノナ・ライダー自身と重なるリンジーというキャラクター
「ウィノナは最初からこの題材が自分にぴったりだとわかっていた」とヴィクターは指摘する。「彼女のようには誰も演じられない。この自然なウィノナらしさは誰にも真似できない。キャラクターのことを本能で理解している。だから、簡単に自分を解放して自然に振舞うことができる。」
 リンジーは愛し愛される感覚を知っているし、それは闘って得る価値のあるものだと気付いているとデルは説明する。「彼女の痛みはフランクの痛みとよく似ている。でも彼女がそこに至った理由は、フランクとは違う。フランクは人生の最初から壁を築いているけれど、リンジーは大人になって愛した人たちにひどい仕打ちをされるまでは自分を閉じてはいなかったの。リンジーにはフランクを魅了する風変わりなところがあるわ。フランクにとって彼女は科学の実験のようなもので、ガラスの下に彼が見たことのないものがある。強い磁気のように引き付けられる。でも彼女もまた怯え、傷ついている。二人の違いは、彼女にはまだ崖から飛び降りる意志があること。自分がほしいものを追いかけるエネルギーと能力が彼女には残っている。」
 ウィノナは、愛に対して運が悪く、それによって壊れてしまった女性を、簡単に観客に信じ込ませる才能があると、ライオンは絶賛する。「ウィノナは観客にとって共感を抱きやすい存在よ。それは私たちが彼女のことを昔から知っているからかもしれない。彼女を再び大スクリーンで見ることができて、ファンは大満足するにちがいないわ。」
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お洒落な街並みと素敵なワイナリーのある人気スポットでロケ撮影
撮影は、カリフォルニア州ロサンゼルスの北西約320キロのセントラルコースト地区で行われた。ツーリストに人気のエリアで、素晴らしい天候、数々のワイン畑、趣のある町並みで知られている。主に海岸沿いの街サンルイスオビスポで撮影され、残りの部分は内陸の多くの道に立ち並ぶ巨大な樫の木(スペイン語で“ロブレス”)にちなんで命名された、パソロブレスのワインカントリーで撮影された。
 「とても忙しい9日間だった」とライオンは振り返る。「キアヌとウィノナはプロ中のプロよ。台詞の量がとてつもなく多い映画にもかかわらず、現場では脚本を携えることもなかった。時には2テイクしか撮らないほど、なるべく少ないテイクでできるように、集中して作業したわ。」短い時間にもかかわらず、デルはセットの雰囲気は陽気でエネルギッシュだったと言う。「キアヌとウィノナを含めた誰もが、セットから出ようとはせず、ずっといてくれたわ。」
 ヴィクターは、撮影のジョルジョ・スカリと共に、この映画のユニークな雰囲気をどうやって伝えることができるのか、長時間にわたって話し合ったと振り返る。「絵画のような映像がほしかったので、1960年代に作られたパナビジョンCシリーズのレンズを選んだ。少し柔らかめの映像だ。」
 結婚式場は練りに練って選ばれ、実際の結婚式としてプランニングされた。デルがパソロブレスにあるデュボ・ワイナリーを見るように提案し、ヴィクターもそこが完璧なロケ地になると考えた。320エーカーにわたって広がるデュボ・ワイナリーはインスタ映えする小規模なワイン畑で、どんなカップルでも披露宴をしてみたくなるほどステキな野外スペースを備えている。5世代にわたって同じ家族が所有する土地だ。
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先に進むか、諦めるか? 観る者に問いかける物語
ヴィクターは、本作にこめたメッセージについてこう語る。「観客に問いかける映画、議論を巻き起こすような映画を作りたい。この映画では、『過去に受けた傷がどれほど深かろうと、先に進み続けるのか? それとも諦めるだけなのか?』ということだ。この映画を観終わってから、観客にそういうことを考えてもらいたいと思った。」
 最後にヴィクター監督は、こう締めくくる。「人生や恋愛で辛い時を過ごしている人は大勢いるだろう。私は引っ込むよりも表に出て、よりよい結果を望むほうがいいと信じている。私はウィノナのキャラクターの味方だ。でももちろん、他の考え方も理解できる。困難な時にどう生きるか、観客の皆さんのヒントになればうれしいね。」
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